結婚式の最後に流れる、撮れたてのエンドロール。
「え、もうできたの!?」なんて驚かれることも多い、あの映像。その裏側では、編集担当者が時間と戦いながら、必死にパソコンと向き合っているんです。
今回は、撮影の裏で一体何が起きているのか、cEEのビデオグラファー眞野に、これまであまり語られることのなかった「編集担当者」の知られざる一日について、詳しく聞いてみました。
編集の仕事って、いつから始まるの?
cEE編集部:
眞野、今回は編集担当者のお仕事について伺います。編集というと、撮影が終わった素材が届いてからが本番、というイメージがあります。
眞野:
そう思われがちですが、実は編集の仕事は、結婚式が始まるずっと前から始まっているんですよ。一番大事な準備は、エンドロールで使うBGMをとにかく聴き込むことですね。
cEE編集部:
曲を聴きながら、どんなことを考えているんですか?
眞野:
「この曲のサビで、この映像を入れたらグッとくるだろうな」とか、頭の中で何度もシミュレーションして、完成形のイメージを固めていくんです。もう、設計図を作るような感覚ですね。時には編集者から撮影者に「このシーンは、こんな風に撮ってきてほしい」ってお願いすることもあります。結局、撮影者と編集者、2人で一つのチームなんですよね。
新郎新婦の初めての対面の場面(ファーストミート)や、ご家族との対面の場面(ファミリーミート)などイチ押しのシーンは、カメラマン一人じゃ撮りきれないリアクションを撮影する為に、編集の立場でもカメラを持って現場へ向かうこともあったりします。
撮れたて素材が到着!イメージ通り?それとも…
cEE編集部:
そして披露宴が始まり、いよいよ編集作業が本番を迎えるわけですね。
眞野:
はい。撮影者から撮れたての素材が届いた瞬間が、頭の中で描いていたイメージと、現実の映像を照らし合わせる「答え合わせ」の時です。『思った通り!』となることもあれば、『予想外だけどこっちの表情のほうが断然良い!』なんて発見もあったり。その場で瞬時に判断しながら、構成を組み替えていきます。
cEE編集部:
セオリー通りにいかないことも?
眞野:
しょっちゅうありますよ(笑)。普通ならカットしちゃうような、ちょっと手ブレした映像とか。でも、それが逆にすごくリアルで良い味を出すこともあるんです。『これ、あえて使ったらどうだろう…?』って、一人でひたすら自問自答。時間がないのに、悩んじゃうんですよね。
時間との戦い。「間に合うか…」心臓バクバクの瞬間
cEE編集部:
何と言っても、時間との戦いが大変そうですね。
眞野:
そうですね。特に、新婦さんの手紙みたいに、披露宴の最後の方のシーンまで入れるとなると、緊張感はMAXです。今でも心臓がバクバクしますよ。映像を完成させて、上映の準備をするまでの時間を考えると、本当にギリギリ。間に合うかどうかのプレッシャーは、すごいです。
cEE編集部:
一人で撮影と編集を全部やる日もあると聞きました。
眞野:
ありますね。一人でやるときは、もう大変です。自分で撮ってるから、あれもこれもってこだわりたくなっちゃう。でも、そうすると編集時間がなくなるから、自分で自分の首を絞めてるんですよね。『あー、どうしよう!』って(笑)。本当はもっと撮りたいけど、そこは妥協するしかない時もあります。
良い映像って、誰のおかげ?
cEE編集部:
結婚式ではカメラマンに目が行きがちですが、編集者の役割も大きいんですね。
眞野:
はい、ものすごく大きいです。ちょっと極端な話ですけど、カメラマンが撮った素材がイマイチでも、編集者がスゴ腕なら、めちゃくちゃ良い映像にできちゃう。映像のクオリティを守る、最後の砦みたいな存在ですね。
cEE編集部:
だから、cEEでは撮影と編集の両方を経験するんですね。
眞野:
そうなんです。編集のことを考えられるカメラマンが、やっぱり一番強い。お互いの大変さがわかるから、良い連携が生まれるんです。2人体制で現場に入ると、『へぇ、そんな撮り方するんだ!』って、自分にとっても新しい発見があって面白いですよ。
最後に
眞野のお話から、エンドロールが単なるダイジェストではなく、編集担当者のクリエイティビティと葛藤の中で生まれる一つの“作品”であることが伝わってきました。
次にあなたがエンドロールを見る機会があったら、ぜひ「この映像の裏では、今頃すごい戦いがあったのかもな」なんて、ちょっとだけ想像してみてください。映像に込められた作り手の想いが、もっと伝わってくるかもしれません。




