「好きなことを仕事にしたい」
誰もが一度は抱く夢。しかし、未経験の業界へ飛び込むには、大きな勇気が必要です。
今回ご紹介するのは、cEE神戸オフィスで活躍するビデオグラファー・奥村。彼の前職は、なんと「電気工事士」。映像とは全く無縁の世界から、今やお客様から指名が入るほどの人気ビデオグラファーへと成長しました。
彼の人生を大きく変えた、ある“転機”とは。そして、カメラ未経験だった彼が、プロの世界で何を見て、何を感じ、どのように変わっていったのか。その軌跡を追いました。
人生の転機は「離婚」。失うものがなくなった時、本当の夢が見えた
人生の再スタート。選んだのは、ずっとやりたかった映像制作だった
cEE編集部:
奥村さんの前職が電気工事士だったと聞いて、とても驚きました。なぜ、全く違う映像の世界に?
奥村:
話すと長くなるんですが…(笑)。もともと、趣味で友人の結婚式などを撮影するのは好きだったんです。「いつか、これを仕事にできたらな」という淡い憧れはありました。でも、まあ色々あって、電気工事の仕事に就いていたわけです。
そんな僕に転機が訪れたのは、7〜8年前。きっかけは…「離婚」です。
cEE編集部:
えっ、離婚ですか!?
奥村:
はい(笑)。まあ、それが良いことだったのかは分かりませんが、結果的に僕を自由にしてくれました。「もう失うものはない。これからは、本当に自分のやりたいことをやって生きよう」と。その時、真っ先に思い浮かんだのが、趣味だった映像の世界でした。
そこから転職活動を始めました。離婚を機に関西へ移りたいという思いもあったので、「関西に拠点がある映像会社」という条件で探して、出会ったのがcEEだったんです。
カメラを通して知った「新しい世界」。見えているものは、カメラマンが“見せている”ものだった
cEE編集部:
未経験でプロの世界に入られて、いかがでしたか?
奥村:
衝撃の連続でしたね。趣味で使っていたスマートフォンや簡単なカメラとは、プロが使う機材は全くの別物。マニュアル操作で、絞りやシャッタースピードを自分で設定していく。最初は戸惑いましたが、すぐにその面白さにのめり込みました。
一番驚いたのは、「レンズを通して見る世界は、肉眼で見る世界とは全く違う」ということ。
同じ景色でも、どのレンズを選ぶか、どの高さから構えるか、どこにピントを合わせるかで、見え方が劇的に変わる。それまで僕が見ていた映画やテレビの映像は、ただ単に「起きている出来事」を記録したものではなかった。あれは、カメラマンが「こう見せたい」という意図を持って切り取った、創り出された世界だったんだと気づいたんです。
この発見は、僕の人生観を大きく変えましたね。世界の見え方が、文字通り変わった瞬間でした。
自信が、最高の作品を生む
cEE編集部:
プロのビデオグラファーとして、実際に結婚式の現場に立ってみて、いかがでしたか?
奥村:
最高に楽しかったです。電気工事の仕事もやりがいはありましたが、今の仕事は楽しさの次元が違いますね。正直、休みたくないくらい仕事が好きです。この8月は休みが多かったので、ちょっと物足りなかったくらい(笑)。
僕はいつも、撮影に臨むにあたって、一つの強い信念を持っています。それは、「僕が撮ることで、お二人の最高の一日が、最高の形で未来に残る」ということです。
cEE編集部:
すごい自信ですね!
奥村:
自信というよりは、プロとしての覚悟に近いかもしれません。お二人がこの日のために費やしてきた時間と想いのすべてを、僕が責任を持って映像に刻む。だからこそ、一瞬たりとも気は抜けませんし、常に最高のパフォーマンスを発揮しなければならない。そのプレッシャーすら、今は楽しめています。
この仕事は、結婚式という「一発撮り」のライブ感が魅力です。音楽のセッションのように、その場で生まれる予測不能なドラマを、僕の感性で切り取っていく。そのスリルと、出来上がった映像がお客様の心を動かした時の達成感。これ以上のやりがいはありません。
今の人生は、最高に楽しい
cEE編集部:
もし、あのまま電気工事士を続けていたら…と考えることはありますか?
奥村:
全く想像できないですね。ただ一つ言えるのは、今の人生は、間違いなく最高に楽しいということです。
「離婚」という個人的な出来事がきっかけでしたが、勇気を出して一歩踏み出したことで、僕は天職と呼べる仕事に出会うことができました。cEEという、映像好きな仲間が集まる刺激的な環境も、僕の成長を後押ししてくれています。
もし、今何かを変えたいと思っている人がいるなら、伝えたいです。未経験だって関係ない。大切なのは、「好き」という気持ちと、一歩踏み出す勇気だけ。世界は、あなたが思っているよりもずっと面白く、輝いて見えるかもしれませんよ。
編集後記
自らの人生を「最高に楽しい」と、屈託のない笑顔で語ってくれた奥村さん。その言葉には、好きなことに全力を注ぎ、プロとして生きる充実感が満ち溢れていました。
彼のストーリーは、未経験という壁を乗り越え、新しいキャリアを築くことの素晴らしさを教えてくれます。cEEは、そんな情熱あふれる挑戦者を、いつでも歓迎しています。




